子供の頃、衣だけの天ぷらにはまっていた時期があった。
そんなのあるの?って声が聞こえそうだけど、衣だけを純粋に楽しむ粋な文化が下町にはある(あった?)んだよ。
オレは『青のり天』と注文していた。
青のりだけが小麦粉に溶かしてあって、かき揚げの形状で出されるから。
「たぬきそば」の『たぬき』の語源はタネ(具)が無い天ぷら→”タネ抜き”からだから、昔からあったのは確か。
それとは別に衣が厚い天ぷらは野暮ったいと言う文化も下町にはあった。
個人的な話かも知れないけど、天ぷら屋は薄衣、蕎麦屋は厚衣。
実は、蕎麦屋で天ぷらを食べる習慣もまた、下町にはあったんだよね。
沖縄の「サーターアンダギー」って、ドーナツの出来損ないかと思っていたけど、実は違うと最近知った。
あれもまた、天ぷらの衣だけを食べるモノだ。
”砂糖の天ぷら”という人もいる。
有名じゃないけど、もちろん、”塩の天ぷら”(カタハランブー)もある。
じゃあ何で、あんなにもドーナツの様相を呈しているのか?
基準となる天ぷらの衣が、沖縄は独特だからだ!
食べてみるとわかるけど、フリッターと見間違う程。
あれの”衣だけ”だとしたら、さもありなんか?
アメリカとかの日本料理店で、フリッターみたいな天ぷらや豚カツが出てくるが、韓国人とかが経営しているからだと思っていた。
翌々考えてみると、戦前の日系移民には沖縄人が多かった。
もしかしたら、アメリカに伝わった天ぷらは、沖縄タイプなのではないだろうか?