ウチの子供が小さい頃、「お箸は右手で持ちなさい!」と叱った事がある。
案の定、カミさんが噛みついてきた。
カミさんは左利きで、箸は左持ちだからだ。
彼女曰く、「左利きを差別している」「子供の自由でイイじゃないか?」等々。
説得するのにエラい時間が掛かったが、最終的には納得してくれた。
(こういう所はオレの意見を素直に受け止めてくれるカミさんは可愛いと思う)
左利きとお箸の左持ちは根本的に違う。
左利きは個性の問題で、お箸の左持ちは食事のマナーの話。
利き腕は関係ない。
ナイフは右、フォークは左と習うのと同じ次元の話である。
更に言えば、カミさんが左持ちでも構わない。
話が根本的に違う。
カミさんの左持ちは彼女の選択であって、上記の話は子供の躾の話だからだ。
ウチは食事のマナーに厳しかった。
妹は左利きで、両親がいないときには、左で箸を持って食べていた。
子供の頃は、きちんと箸が持てるようにと、妹だけ習字を習っていた。
今はどうか?
親の前でも、左で箸を持って食べていて、親も何にも言わない。
妹はもう大人だからだ。
オレにもある。
子供の頃、ナイフとフォークで食べるとき、ご飯はフォークの背に乗せて食べていた。
親に、それが正式なマナーだから、とりあえず練習しなさいと言われたから。
今はどうか?
もちろん腹に乗せて食べている。
もう大人だからだ。
じゃあ、腹に乗せて食べてもイイよと子供に言うかというと、そうではない。
子供の躾に関してはまた別の話。
正式なモノをきちんと躾けないとダメだと思う。
その上で、子供は成長してから、自分で選択すればいいと思う。
親がどっちだってイイじゃんって言っちゃうと、「キチンと躾けられていない可哀相な子」になる。
正式なモノを教えた上で、子供の自主性に任せれば、「キチンと躾けられて、更にその上、選択の自由がある子」になる。
うるさいと言われても、必要な事だと思う。
ちなみにフォークの背に乗せてなんか食べないと言う意見もあるけれど、一応背に乗せるのが正式。
西洋料理にはライスはないので、元々は豆の食べ方を基準にして、明治以降に作られたマナー。
イギリスは背に乗せて、大陸は腹に乗せて食べていた。
明治期に皇室はイギリスの基準を採用し、現代でもそれを継承している。
日本の最高峰のディナーと呼ばれる宮中晩餐会ではコレが標準で、日本ではそれが正式なマナーとなる。
こういった経緯を知らないで、「西洋人と料理食べたけど、乗せて食べないよ~」等々と言っているのは「可哀相な子」だ。
「正式なモノは知っているけど、あえてコレで食べているんだよ」と言うのとでは格段の差があるよ。
「色々な流派があるから」で済ますのも、知らない証拠。
知っている人は、例えば「ウチは裏千家だから、表と違って泡を立てるんだよね」と言ったりする。
なので、躾と称したものは、一応キチンとしていこうと思う。