逢うたびに抱かれなくてもいいように一緒に暮らしてみたい七月
上記の歌は俵万智の『チョコレート革命』の一首。
3冊目の歌集で、脂の乗り切った時期のヤツ。
これ、初めて読んだときは衝撃的だった。
SEXは大事だけど、大事なことだけやっていれば、いいわけじゃあないよね?
無駄なことも好きな人と一緒にするって、何かいいよね♪
同棲したら、ずっと出来るじゃん!じゃなくて、しない時間ができるじゃん!なんだよね。
それとは別に女って、こんな風に思っているんだと気付かされた。
男はSEXしている時間=SEXの時間だけど、女はもっと長い時間をSEXに費やしている。
抱かれることからはじまる一日は泳ぎ疲れた海に似ている
朝、イチャイチャしていて、そのままやっちゃうことってあるじゃん?
男は出してスッキリだけど、女は昼過ぎぐらいまで(←男の勝手な推測)SEXの余韻が残っているんだと思う。
だから、こっちが「SEXなんて最後のほうでちょっとしただけじゃん」って思っていても、女の方はSEXの比重が違うから、『逢うたびに抱かれ』てると思うんだろうね。
水蜜桃(すいみつ)の汁吸うごとく愛されて前世も我は女と思う
って、書いているから、俵万智もSEXが嫌いで言ってる訳じゃないと思う。
実は、この『チョコレート革命』は、俵万智が不倫していた時期に書かれたもの。
だから、歌の7~8割は不倫の歌。
愛することが追いつめることになってゆくバスルームから星が見えるよ
日曜はお父さんしている君のため晴れてもいいよ三月の空
焼肉とグラタンが好きという少女よ私はあなたのお父さんが好き
妻という安易ねたまし春の日のたとえば墓参に連れ添うことの
巣づくりの本能見せてヒト科のオンナの妻というものあなどりがたし
そう考えると、冒頭の歌も、オレの解釈とは違うのかも知れない。
しのび逢いの少ない時間をSEXに当てないといけない現実と、ずっと会っていられる関係への憧れを表しているのかな?
俵万智の印象が『サラダ記念日』で止まっている人は、是非一読をお薦めします。
裏に透けている物語(彼女のリアル私生活)が凄い一冊です。